『山と舟』HIUベーシックインカムレポート【5月】


堀江貴文イノベーション大学校(以下、HIU)で5名のメンバーを対象にベーシックインカム実験がスタートした。毎月HIUより10万円が支給され、メンバーはその資金を自身のアクティブな活動の為に使っていく。どう使うかはメンバー次第。果たしてどうなっていくのか!? 毎月レポートを掲載。

■一歩ずつ、

登りはじめて十分も経たぬうちに、わたしは早くも後悔していました。前日の深酒がまだ体に残っていて、足は重く、息はすぐに上がる。心臓が「なにを気軽にこんなところに来てんねや」「街歩きのスニーカーやろそれお前ぇ」と抗議の声を上げている。先を行く友人の背中が、やけに軽やかに見える。休みたい、引き返したい、という言葉が喉元までせり上がってくる。

それでも口に出さなかったのは、ここで引き返したところで楽になるわけでもない、という計算が働いたからです。見栄もあるし。冷静に判断できていますね。

ここで登山をやめて早めに有馬温泉に行く。なんてことをする方が、しんどい。登るしかない。人生の大抵の場面と同じで、進むのが一番の近道、という結論に至ります。何より今日は友人の誘いにのってきている。昨年末に登山に興味があるんだよねーというわたしの気軽な発言を覚えていてくれて、初心者向けの六甲山をチョイスしてゴールデンウィークに企画してくれているのです。こんなもん早々に下山なんて言おうものなら友人関係にひびいって修繕不能になるのは自明です。

そこからは、目標をうんと小さく切ることにしました。山頂までの距離など意識しない。「次のあの曲がり角までは」「あの木の根っこまでは」と、目の前の数メートルだけを引き受ける。達成したらまた次の数メートル。これが効く。大きな山もこうして一歩の積み重ねでしかないのだと、当たり前のことに気づかされます。普段わたしが事業だの予想botだAIの活用だと頭でこねくり回している理屈も、結局はこの「一歩」の話なのだ、などと考えながら、また一歩。

不思議なもので、苦しさのピークを越えたあたりで、ふっと頭の中が静かになります。あれこれと巡っていた雑念が、息と足音のリズムに溶けていく。気づけば、足元の土の匂いや、澄んだ川の水、サワサワと木漏れ日、すれ違う登山客の「こんにちは」のひとつひとつが鮮やかに感じられる。視覚や思考に使っていた力が、ほかの感覚へ回ったような感覚です。山に登るというのは、自分の中の余計なものを少しずつ手放して行く行為なのかもしれません。

そうして、難関のガレ場も乗り越え、気がつけば最後の急な斜面。今日はなんちゃってトレランをしに来ていたのを思いだし意地で走って登りきりました。汗だくの、やっと酒が抜けた情けない登山客がここにひとり。けれど、ここまで運んできてくれた自分の身体をちょっと褒めてやってもいい気がしたのです。

そうしてたどり着いた山頂で食べたおにぎりの、なんと美味しいことか。友人が入れてくれたコーヒーの香ばしさも、分け合ったおやつの甘さも、普段の何倍にも豊かに感じられます。一息ついたあとは有馬温泉方面に下山し硫黄泉にゆっくりつかり風呂上がりにビールをいただく。お土産に山椒を買ったり散策。こういう喜びを人生の中で何度も味わっていきたいと思い新たにした次第です。

 

■ 賭けていない時は当たる

そうして上機嫌の有馬温泉でひと息ついた後、住之江競艇に移動してナイターレースに初参戦です。
最近、競艇の予想botを自作しておりまして、レース結果のデータを食わせて、条件を絞って、出力を確認して。AIと壁打ちしながらコツコツ育ててきました。いわばわたしの分身のようなプログラムです。せっかく現場に来たのだし試運転だ、と意気込んで起動しました。
ところがこのbot、妙な癖がありましてわたしがかけていない時によく当たる。ならばと信じて次は大きめに張る。外す。これを何度繰り返すのか。冷静に考えれば、確率の話だ、ただのブレだ、とわかってはいる。わかってはいるのですが、こうも見事に裏目が続くとこれはもうバチでも当たっているのかと思えてくる。「ええ加減に観念して真面目に働きなさい」とでも言われているような気がしてきます。最終レースまで不調続きで全く当たらず。まあでも、負けたけれども今日は楽しかったなー!と思えるあたりギャンブルには向いていないと改めて実感しつつ帰路に。AI予想BOTは情報を食わせれば食わせるほど精度が落ちていくような気がしています。もっと上手い作り方がありそうだが果たして。「かけていない時は当たっている」という事実がまたこれ沼にハマっている気がいたします。

【使用内訳】
AI関連費用 80000円
レジャー関連費用 10000円
HIU会費 11000円

レポート執筆者:Satoshi Yamatsu