『行動をゲーム化し、ひらめきで人生を再起動する』HIUベーシックインカムレポート【11月】


堀江貴文イノベーション大学校(以下、HIU)で5名のメンバーを対象にベーシックインカム実験がスタートした。毎月HIUより10万円が支給され、メンバーはその資金を自身のアクティブな活動の為に使っていく。どう使うかはメンバー次第。果たしてどうなっていくのか!? 毎月レポートを掲載!

 

 

ToDoを消す快感を最大化する、紙と付箋の戦略

知識は、実践して初めて力になります。先月のレポートで理論を探求した「ゲーミフィケーション」を、今月は私自身の日常に“実装”することから始めました。

D-Labで紹介されたゲーミフィケーションのテクニックは、実に47項目あります。この膨大な武器庫を前にすると、多くの人は「どれから手をつければよいのか」と途方に暮れるでしょう。私も同様でした。だからこそ重要なのは、「すべてを完璧にやろうとしないこと」、そして「自分にとって最も響くものから選ぶこと」だと考えました。

その選択基準として用いたのが、先日明らかにした私自身の「価値観」です。例えば、私の価値観の上位にある「冒険:新しくてワクワクする体験」。この価値観をフィルターにして47項目を眺めると、単なるポイントやバッジ(PBL)よりも、「予測不能性」や「希少性」といった心を揺さぶる要素のほうが、私には効果的であると気づきました。

そこで私は、単調なタスク管理に留めず、「毎日ランダムなボーナス目標が発生する」といった自分だけのルールを追加しました。これは、既存のテクニックを、私の「冒険したい」という根源的な欲求に合わせて再設計した結果に他なりません。

理論の学習を終えた私は、自分自身を被験者としてゲーミフィケーション・システムの構築に着手しました。47の武器の中から私が選んだのは、即効性と持続性を両立させるための組み合わせです。

まず、すべての行動の起点として「物理リマインダー」を導入しました。スマホの通知ではなく、毎朝その日にやるべきタスクを紙に書き出し、完了するたびに線を引いて消していく方式です。「書く」「消す」という身体的な動作は、デジタルのチェックよりも強い達成感を生み、行動の開始と継続を後押ししてくれました。

次に、このシステムの心臓部として「サイコロによるランダム報酬」を組み込みました。タスクを数個クリアするごとにサイコロを振る権利を与え、出た目に応じて「Amazon Primeを観る」といったご褒美を獲得できるようにしたのです。ポイントは、ご褒美が「いつ手に入るかわからない」という不確実性にあります。これは、いわゆる「部分強化」の原理を応用したもので、「次は当たるかもしれない」という期待が報酬系を刺激し、作業への集中を生み出します。

さらに、報酬リストには「あえて」一見罰ゲームのような項目(例:スクワット20回)も入れました。普段であれば面倒で先延ばししがちな行動も、ゲームのイベントとして組み込むことで実行のハードルが下がります。加えて、クリア後には「健康を獲得した」という別種の達成感が得られ、自己肯定感の向上にもつながりました。

長期的なタスクに対しては、「スモールゴール」を付箋に書き出し、PC周辺など視界に入る場所へ貼り付けました。これは単なるToDoリストではなく、視界に入るたびに無意識に意識づけを行い、達成して付箋を剥がす行為そのものが快感になる、強力な視覚的アンカーとして機能します。

結果として「やる気と継続意欲が高まった」のは、精神論ではありません。短期的な達成感(タスク消去・付箋)、長期的な期待感(サイコロによる不確実な報酬)、そして自己拡大の感覚(スクワットのような成長要素)を組み合わせ、脳の報酬系が最も反応しやすい形に設計した、合理的なシステムだからだと考えています。

 

「人生どうすれば…」の不安がほどけた、一本の動画

「人生、どうすればいいんだ……」。そんな漠然とした不安に駆られたとき、人は焦って答えを探そうとしがちです。しかし、本当に重要な答えほど、力んでいる最中には見つかりにくい。D-Labで紹介されていた「エウレカモーメント」の科学は、まさにその事実を示していました。

エウレカモーメントとは、アルキメデスが入浴中に「エウレカ!(わかった!)」と叫んだ逸話に由来する、突然のひらめきの瞬間を指します。これは神秘的な“お告げ”ではありません。無意識下で脳が情報を整理・統合し続け、ある瞬間に意識の領域へ「答え」だけが立ち上がってくる——そうした合理的な認知機能として捉えられます。

この話を聞いたとき、私は学生時代の記憶が鮮明によみがえり、雷に打たれたような衝撃を受けました。当時、私はクラシック音楽を学んでいましたが、楽譜や理論だけでは説明できない、「こう弾けば、なぜか美しい音が出る」という確信のような感覚があったのです。しかし、その理由を言語化できず、指導者から「感覚で弾くな」と叱責されたこともありました。

当時の私は、説明できない自分を「未熟だ」と評価していました。けれども、今回エウレカモーメントという枠組みを知ったことで、別の解釈が可能になりました。私の脳は、言語化された音楽理論に先行して、経験の蓄積から「美しい音のパターン」を無意識下で学習していた可能性がある。つまり、説明できなかった過去の自分は無能だったのではなく、むしろ“言語になる手前の答え”をつかんでいたのかもしれない、と捉え直せたのです。この再解釈は、私にとって大きな希望になりました。

人生の大きな問いも同様です。焦って答えをひねり出すのではなく、必要な情報をインプットし、試行錯誤を重ねたうえで、いったん力を抜く。そうすると脳は、適切なタイミングで「エウレカ」と言える形にまとめてくれることがある。重要なのは、その無意識の働きを過小評価せず、ひらめきを受け取れる状態を意識的につくることだと理解しました。

さらに、エウレカモーメントの本質的な価値は、未来のひらめきを生むだけでなく、過去の「挫折」の意味すら書き換える点にあります。エウレカの条件の一つに「十分な知識の蓄積」があります。この言葉を聞いた瞬間、私は凍りつきました。なぜなら、それは学生時代に私が最も苦手意識を持ち、結果的に挫折した「音楽理論」の重要性を、正面から突きつけてきたからです。

かつての私にとって音楽理論は、自由な感性を縛る無味乾燥なルールの集積でした。しかし、エウレカモーメントという視点を得た今、それはまったく別のものに見えています。もはや音楽理論は、私を評価するための「テスト」ではありません。無意識が生み出すひらめきの正体を解明し、その精度を高めるための「道具」なのだと位置づけ直せたのです。

この認識の変化は、行動も変えました。以前は苦痛でしかなかった楽典のページを、自分から開き、曖昧だった音楽用語の定義を一つずつ確認し始めました。これは単なる暗記ではありません。自分の感覚という“地図のない領域”に、言葉という“目印”を打っていく作業です。例えば「フォルテ」という記号が、単に音量を上げる指示にとどまらず、表現上の強調点として機能することが理解できたとき、感覚と知識が接続される手応えがありました。

苦手なことや嫌いなことは、ときに未開拓の知識が眠る領域でもあります。エウレカモーメントの理論は、その領域を掘り進めるための「目的」という強力な推進力を与えてくれる——私はそう整理しました。

そして、ゲーミフィケーション、価値観リスト、エウレカモーメント。一見バラバラに見えるこれらの知識は、最終的に一つの結論へと私を導きました。それは、「人生の主導権を取り戻す」という決意です。

私は、「自分の意志で始め、自分の意志でやめる」という経験を意識的に増やすことにしました。これは気分の問題ではなく、選択と決断が“自分のもの”として積み上がるほど、行動の納得感と達成感が高まりやすいからです。また一般に、やらないまま残る課題は注意を引きつけ続け、集中力を消耗させることがあるとも指摘されています。だからこそ、他人の期待に流されて増えたタスクを惰性で抱えるのではなく、「やらない」と決めることも含めて、自分で終わらせる。これが脳の余白を取り戻し、次の一歩を踏み出すための実務的な方法だと考えました。

この気づきは、活力と同時に「健全な焦り」ももたらしました。特に20代という時間は、知識・経験・人間関係といった資産を積み上げやすい時期です。ここでの学びや挑戦は、後年の選択肢を大きく広げる——その意味で、焦りは絶望ではなく、理想と現実の差を認識できている証拠であり、行動のエンジンになり得ます。

そして今回の探求での最大の発見は、「音楽の壁を、心理学が打ち破った」という事実そのものでした。専門領域に閉じこもるだけでは、いずれ視野が固定化して行き詰まる。真のブレークスルーは、常識から最も遠い「異分野の知」との衝突によって生まれる——私はそう確信しました。

結局のところ、人生を面白くするのは、専門を掘り下げる「深さ」と、異なる知見を掛け合わせる「広さ」の両輪です。私はその両輪を回し始めたに過ぎません。この旅は、まだ始まったばかりです。

 

ベーシックインカム生活の内訳:今月のお金の行き先はこちら

今月も、HIUなどDMMオンラインサロン入会継続¥11,000-をはじめ、ブロマガ「堀江貴文のブログでは言えない話」¥880-、クラシック音楽専門音楽配信サービス「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」¥2,035-、知識のNetflixを目指す「D-Lab by メンタリストDaiGo」¥906-、あらゆる領域の映像制作を後押しするオンライン・コミュニティ「UMU TOKYO」¥2,700-、グラフィックデザイン及び動画編集、ウェブデザインのアプリケーションソフトウェアを利用できる「Adobe Creative Cloud」¥5,478-に使用した。

 

レポート執筆者:床次 佳浩 / Yoshihiro Tokonami
https://x.com/MrTokosmusiclab
編集:D-Lab AIチャンネル「D-Lab AI」
https://daigovideolab.jp/ai/landing
校閲:OpenAI「ChatGPT Pro」
https://openai.com/ja-JP/chatgpt/overview/