『10万円で手に入れた知性と実装力』HIUベーシックインカムレポート【8月】


堀江貴文イノベーション大学校(以下、HIU)で5名のメンバーを対象にベーシックインカム実験がスタートした。毎月HIUより10万円が支給され、メンバーはその資金を自身のアクティブな活動の為に使っていく。どう使うかはメンバー次第。果たしてどうなっていくのか!? 毎月レポートを掲載!

 

 

東大阪の舞台で届けた「一歩踏み出す勇気」

2017年6月25日、私は東大阪市新人演奏会に出演しました。本演奏会は、近畿圏の音楽大学卒業生のうち、各大学の推薦を受けたわずか10名にのみ演奏機会が与えられる、非常に名誉ある舞台です。

当日演奏したのは、スクリャービン作曲**「左手のための2つの小品 Op. 9」**です。本作は、作曲者が右手を故障し、ピアニストとしてのキャリアが危ぶまれる状況下で生み出された、左手のみで演奏される作品であり、逆境の中でも創造性を失わない姿勢を象徴しています。

私はこの演奏を通して、難度の高い作品の技術を提示するだけでなく、作品が内包する**「困難な状況にあっても創造性を手放さない人間の強さ」、そして「ハンディキャップを乗り越える希望」**というメッセージを聴衆に届けることを目的としました。私の演奏が、何らかの壁に直面している人や挑戦をためらっている人にとって、一歩踏み出す勇気につながるならば、それこそが本舞台における成果であり、社会への貢献であると考えています。

さらに、このメッセージは演奏会当日の会場内だけで完結しませんでした。演奏会のPRの一環として、ケーブルテレビ局の生放送へ出演する機会をいただき、私自身の言葉で活動の背景や意図を伝えることができました。また、演奏会翌日には演奏映像が放映され、アプリを通じて1週間、全国で視聴可能な状態となりました。これにより、私の演奏は東大阪という地域を超え、時間や場所の制約なく、同じように困難に向き合う人々へ届きうる可能性を得たと言えます。個人の表現活動が、メディアというレバレッジによって社会的な広がりを持った点は、重要な意義でした。

そして、この一連の活動を経済的に支えたのが、**ベーシック・インカムの一部(合計24,323円)であった点は特筆すべき事項です。これは単なる経費報告ではなく、「社会からの先行投資(ベーシック・インカム)を、自己投資(演奏会参加)へ転換し、その成果を文化的価値(希望のメッセージ)として社会へ還元する」**という、新しい資本循環を実践した一つの社会実験でもありました。

最後に、この価値創造のプロセスは私一人で成し遂げたものではありません。演奏会の主催者、メディア関係者の皆様、そして私の可能性を信じ推薦してくださった母校の先生方の支援があってこそ実現しました。この場を借りて、心より感謝申し上げます。

 

和牛の牛脂でクロワッサンを破壊する

人は、一度強烈な快感や感動を体験すると、それを簡単には忘れられません。昨年11月に体験したWAGYUMAFIAの味は、私にとってまさにそれでした。単なる「美味しい食事」という記憶にとどまらず、「あれは一体何が起きていたのか」という知的好奇心を刺激する、一つの“謎”として脳に刻まれていたのです。

そんな中、当日キャンセルに伴う再募集という、まさに千載一遇の機会が舞い込みました。その時点で私は別件の予定で大阪へ向かう直前でしたが、思い切って予定をすべて調整し、WAGYUMAFIAのイベントへ向かうことを即断しました。

理由は明確です。これは単なる食事の機会ではなく、以前から頭に残っていた“謎”を解き明かし、価値創造の現場を再度体験するための「投資」だと判断したからです。飛行機のチケット代などのコストは、ここで得られる学びを逃す機会損失と比べれば相対的に小さいと考えました。

実際に再訪して感じたのは、WAGYUMAFIAが提供しているのは、単に高級食材を用いたフルコースではない、という点です。一つ一つの料理に、既存の食の常識を意図的に揺さぶる「ひと工夫」が組み込まれていました。食材の組み合わせの意外性、プレゼンテーションの斬新さ、文脈の切り替え。つまり彼らは牛肉そのものを売っているのではなく、「驚き」と「感動」という体験価値を設計し、提供しているのだと理解できました。

この体験の核心は、シグネチャーメニューである「ワギュワッサン」に集約されていました。見た目は一般的なクロワッサンですが、生地には和牛の牛脂が練り込まれており、一口目からバターとは異なる、強い和牛の香りが立ち上がります。手に取った時の重量感も相まって、私たちが「クロワッサン」という記号に抱いている既成概念を意図的に崩してきます。

ここで重要なのは、これが単に「珍しい料理」ではないということです。彼らが行っているのは、「誰もが知る安定したフォーマット(クロワッサン)」に、「異質で高密度な価値(和牛)」を掛け合わせることで、予測を裏切り、強い認知的インパクトを生み出す設計です。和牛シャーベットや、八女玉露を注ぐお茶漬けといったメニューも、構造としては同じでした。安定と破壊の組み合わせが、忘れられない体験の正体だったのです。

この気づきは、料理に限らず、音楽・アート・ビジネスなど幅広い領域に応用可能だと感じました。たとえば、誰もが知るクラシックの名曲を、まったく異なるジャンルのリズムや楽器編成で再構築したらどうなるか。あるいは、定型化したビジネス書の内容を、エンターテインメント小説の形式で伝えたらどうなるか。いずれも「既存のフォーマット × 異質な価値」という同じ方程式で、新しい価値を生み出せる可能性があります。

結局、私がWAGYUMAFIAの体験に投資して得たのは、満腹感そのものではありませんでした。あらゆる分野で転用可能な「価値創造のレシピ」を、体験として掴めたことこそが最大の収穫だったと考えています。

 

ベーシックインカムで手に入れた「未来実装力」

ベーシックインカムによって得られた資金と時間を、私は現代社会を生き抜くための「情報へのアクセス」と「思考力の強化」に戦略的に投資しました。

まず取り組んだのは、HIUの利用料、堀江貴文氏のメールマガジン、専門的な衛星放送など、信頼できる「情報源」への投資です。これは単なる娯楽や知識欲を満たすためではありません。変化の激しい現代において、質の高い一次情報に継続的にアクセスできるかどうかは、意思決定の精度を左右し、結果として“生存確率”に直結すると考えたからです。

HIUの定例会で扱われるスタジアムビジネスや飲食業の議論は、一見すると自分と無関係な領域に見えるかもしれません。しかし、その根底には、業界を超えて共通する「人が熱狂する仕組み」や「価値を収益化するモデル」といった普遍的な原理が流れています。私は、そうした議論から共通項を抽出し、自分の思考の枠組み(思考OS)を更新するためのインプットとして活用しました。

一方で、情報はインプットしただけでは単なるデータであり、価値にはなりません。そこで重要になるのが、「アウトプットによる思考の定着」です。堀江氏が繰り返し述べるように、学んだ内容を自分の言葉で要約し、SNSなどで発信する。私もこれを実践しましたが、率直に言って、脳が悲鳴を上げるほど難しい作業でした。

しかし、この「難しさ」こそが最大の収穫でした。他人の言葉を借りずに自分の意見を組み立てるプロセスは、思考の筋力トレーニングに相当します。難しいと感じるのは、これまで十分に使ってこなかった思考の回路を使っている証拠であり、成長の手応えでもありました。

つまり、私がベーシックインカムで行ったのは、情報の「仕入れ(インプット)」と、それを自分の資産に変えるための「加工(アウトプット訓練)」です。これは情報化社会における、最も基本的かつ重要なサバイバルスキルの獲得だと位置づけています。

そして、ベーシックインカムという社会実験は、私を次のフェーズへ移行させました。それは、単なる情報収集から一歩進み、未来を自らの手で「実装」するための能力へ投資する段階です。

そのために私は、NewsPicksアカデミアと、DMMの「落合陽一の解体魔術講座」という性質の異なる二つのコミュニティに同時に参加しました。これは無計画な衝動ではありません。NewsPicksで「経済とビジネス」という社会のOSを学び、落合氏の講座で「テクノロジーとアート」という未来のアプリケーションを学ぶ。文系・理系の知を掛け合わせることで、社会変化を読み解くだけでなく、変化を生み出す側へ回るための戦略的投資です。

特に、私が「自動運転」や「ICタグ」といったテーマに惹かれたのは、それらが単なる技術ではなく、物流・決済、さらには個人のアイデンティティ管理に至るまで、社会インフラを根底から書き換える可能性を持つからです。その本質を理解するには、記事を読むだけでは不十分であり、「実際につくってみる」というハッカー的アプローチで構造を分解し、再構築するプロセスが不可欠だと考えました。

この一連の投資活動を通じて、堀江氏や厚切りジェイソン氏らが繰り返し語る「行動せよ」「経験せよ」という言葉の意味を、実感として理解しました。

ピアノ演奏を通じて「逆境を乗り越える希望」を届けた経験、WAGYUMAFIAで「価値創造の方程式」を体験として掴んだ経験。これらはすべて、自ら行動したからこそ得られた、誰にも奪われない資産です。知識や情報は、行動し、経験というフィルターを通したときに初めて血肉となり、本物の知性へ変わっていくのだと整理しています。

私のレポートはここで終わりではありません。むしろ、ここからが始まりです。ベーシックインカムによって得た知性と投資を元手に、私はこれから、社会に対して具体的な価値を「実装」していく行動フェーズへ移行します。

 

【収入】

・ベーシック・インカム:¥100,000-

 

【支出】

・ 第26回東大阪市新人演奏会: ¥24,323-
・ WAGYUMAFIAイベント:¥38,180-
・堀江貴文イノベーション大学校: ¥10,800-
・ホリエモンチャンネルFRWSH!: ¥840-
・ホリエモンチャンネルメルマガ: ¥864-
・HIU定例会参加: ¥13,700-

 

レポート執筆者:床次 佳浩 / Yoshihiro Tokonami
https://x.com/MrTokosmusiclab
編集:D-Lab AIチャンネル「D-Lab AI」
https://daigovideolab.jp/ai/landing
校閲:OpenAI「ChatGPT Pro」
https://openai.com/ja-JP/chatgpt/overview/